飛車を切った。控室では悲鳴のような声が漏れる。
*
*※局後の感想※
*△5六飛で形勢の針が先手に触れた。代えて△7四飛が有力だった。以下▲7六歩△8四飛▲8六歩△8五歩▲同歩△同桂▲8六歩△7七桂成▲同金に△7八歩が手筋のタタキとなる。▲7八同銀は△8八角、▲7八同金は△6六角で後手の攻めが続く。「あまり掘り下げませんでしたが、けっこう手が続くんですね。本譜は飛車を切る組み立てで指していましたが、こちらのほうが難しいですね」と伊藤。斎藤は「2枚換えした割にはパッとしませんね」という。
61手 同 歩(57) ( 0:07/03:26:38)*居玉の先手陣はスキがあるのかないのか。
62手 5七角打 ( 0:09/03:11:35)*銀取りに角を打ち込む。
*斎藤の残り時間が30分を切った。
63手 6八銀(79) ( 4:17/03:30:55)*角に当てながら手順に銀を逃げる。
64手 4六角成(57) ( 0:08/03:11:43)*後手は馬の威力に期待したようだ。
65手 3七銀打 ( 1:04/03:31:59)*銀を投入して馬を弾く。
66手 5六馬(46) ( 0:17/03:12:00)*後手はさらに歩を削る。
67手 7一飛打 ( 1:09/03:33:08)*斎藤は手にした飛車を敵陣に打ち込む。▲7二飛成〜▲6一銀を見ている。
*木村九段は「飛車切りは意外でした。△7四飛で後手が指せるのではないかと思っていましたから」という。△7四飛は前述したように△7六歩が狙いで、先手が▲7六歩と受ければ△8四飛▲8六歩に△8五歩がいいリズムだと控室で見られていたからである。木村九段は▲7一飛△6一銀打に▲8四桂は△8二角▲7二桂成△7一角▲同成桂△8九飛▲7九歩△8七飛成▲6一成桂に△7六歩が厳しいと見ている。しかし、△6一銀打に▲9一飛成と香を取る手が好手で、△4七角に▲5八香がぴったりのようだ。以下△7八馬には▲7六金で、後手が攻め続けるのは難しいかもしれない。木村九段は「▲7一飛の感触がいいですね」という。
*伊藤の残り時間が30分を切った。
*高見七段も先手よしと見ている。「飛車を切らずに△7四飛では2枚換えでじりじり指されて悪いと伊藤叡王は判断して勝負に出たと思います。しかし、本譜の▲7一飛が厳しいので、結果的には△7四飛のほうがよかったかもしれません」と高見七段は解説する。
*
*【先手優勢】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2025/06/post-05e5.html *
*※局後の感想※
*「▲7一飛がけっこう厳しいですね」と伊藤。ここでは先手が優勢になっている。
68手 6二金(52) (38:44/03:50:44)*伊藤は△6二金と寄って銀にヒモをつけた。38分の考慮で指された。控室では「すごい辛抱ですね」という声が漏れる。銀を温存して勝負を懸ける。
69手 1一飛成(71) ( 0:44/03:33:52)*斎藤はすぐに1一の香を取った。
70手 8六歩打 ( 0:15/03:50:59)*伊藤は金取りに歩を打つ。外堀を削りにいく。
71手 同 金(87) ( 1:15/03:35:07)*斎藤は歩を取った。丁寧に応じる。
72手 6五桂(73) ( 0:36/03:51:35)*金を上ずらせてから自陣の桂をさばく。手駒を蓄えて猛追する。
73手 同 桂(77) ( 2:38/03:37:45)*斎藤は桂を取った。
74手 同 馬(56) ( 0:10/03:51:45)*6五で桂交換になった。次に△5六桂が厳しいか。対して先手は桂桂香で後手玉にどう迫っていくのか。
*
*【予想外の強襲】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2025/06/post-05fa.html 75手 4四歩打 ( 8:35/03:46:20)*斎藤の指し手は▲4四歩。このタイミングで反撃に転じた。勝又七段は「△4四同歩でありがたい気がしたけど、そうではないのか」とつぶやく。△4四同歩は6五馬の利きが自陣まで通るからである。
76手 5六桂打 ( 0:44/03:52:29)*玉頭を手抜いて△5六桂と打つ。急所の銀を攻める。
*
*【最終盤】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/eiou/2025/06/post-654a.html 77 5八金(49) (12:34