局の検討に加わっていた糸谷哲郎八段が現地をあとにした。勝又七段や高見七段が関係者とともに見送り隊を結成する。入れ替わりに明日の大盤解説会の解説陣が控室に立ち寄るようだ。継ぎ盤では▲5五銀が検討された。△5四銀▲6四銀△6二飛▲7五銀△5五銀▲8三角△4六銀▲3八角成(▲5六角成は△6五角で馬を消される)と進むと馬を消す順があるかどうか。
*16時頃、△6五銀までの消費時間は▲藤井2時間15分、△永瀬1時間47分。藤井は30分近く考えている。
37手 4七銀(56) (36:00/02:51:00)*36分考え、▲4七銀と撤退した。控室に緊張が走る。△5四銀▲5六銀△6五銀▲4七銀……、と進めば再度の
千日手になってしまう。関係者から前手△6五銀がこれまで指されておらず、「コロンブスの卵」と例えられると、すかさず佐藤康九段から小牧対局になぞらえて「名古屋コーチンの卵」の発言が飛び出す。午後のおやつの名称にもあったが、名古屋コーチンは小牧発祥とされる。
38手 5四銀(65) ( 0:00/01:47:00)*ノータイムで振り上げた拳を戻し、4手前の局面に合流した。
39手 7九玉(68) ( 3:00/02:54:00)*「よかった、玉引いた。セーフ!」(勝又七段)
*▲7九玉と手を変え、再度の
千日手を回避する。現局面は前例にない。
40手 2二玉(31) ( 0:00/01:47:00)*一足先に入城。攻撃形の構築はあとに回し、囲いを優先した。継ぎ盤には▲6六歩△6五歩▲同歩△同銀▲6九飛△6六歩▲同銀△同銀▲同飛△8六歩▲同歩△5九角▲3八金△8六角成の順が並ぶ。そこまで進むと玉の薄い先手が思わしくない。
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*【
千日手は回避】
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https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-ecd7.html 41手 6六歩(67) (28:00/03:22:00)*28分の考慮で▲6六歩と突く。△6五歩の争点を与えるが、この歩を突かなければ陣形の発展は望みにくい。
*「△6五歩▲同歩△同銀に(1)▲6九飛は△6六歩でマズイから、(2)▲4五歩と突いてみますか」(佐藤康九段)
*検討の結果、有力のようだ。△4五同歩▲同桂△4四銀▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲2五歩の攻め筋があり、△2五同歩は▲同飛△2四歩に▲3三桂成の
王手銀取りが決まる。
*「△2二玉と入ったので、▲6六歩と突いたのですね」(佐藤康九段)
*(2)の順は2二の玉が目標になっている。
*
*※局後の感想※
*藤井「本譜は変でしたか」
*永瀬「いやいやいや」
42手 6五歩(64) ( 7:00/01:54:00)*7分考え、△6五歩と突き出す。前手▲6六歩をとがめにいった。
43手 同 歩(66) ( 0:00/03:22:00)44手 同 銀(54) ( 2:00/01:56:00)45手 4五歩(46) ( 3:00/03:25:00)*17時頃、▲4五歩までの消費時間は▲藤井3時間25分、△永瀬1時間56分。佐藤康九段が示していたとおり、▲4五歩と反発する。△8六歩に(1)▲同銀△6六歩▲6八歩は△5四角のように力をためる手があり、先手が怖いようだ。(2)▲8六同歩△8五歩▲同歩△9三桂に佐藤康九段は強く▲9七桂を挙げた。
*「そこまでは考えられますね。そのあとが難しいです」(高見七段)
*例えば△6二飛には▲5五角を含みに▲2四歩でどうなっているのか。(A)△2四同歩はいつでも▲2三歩〜▲2五歩の筋が生じ、(B)△2四同銀には▲4四歩や▲5五角が見え、複雑に分岐していく。継ぎ盤を囲む佐藤康九段、勝又七段、高見七段は、一様に「分からない」と発する。明日の大盤解説会の解説陣、伊藤匠叡王、藤井猛九段、野原女流二段がそろって控室に到着した。勝又七段から、さっそく伊藤叡王に36手目△6五銀の認識があったかの質問が飛ぶ。両者と同様に序盤研究の深い伊藤叡王だが、考えたことがなかったとの返答を聞き、高見七段が安堵した。永瀬は脇息に身を伏せる。17時を過ぎ、
封じ手のタイミングについても考える必要が出てきそうだ。
*18時になると永瀬は直ちに
封じ手の意思を示した。
封じ手の消費時間は1時間4分。1日目の消費時間は▲藤井3時間25分、△永瀬3時間0分。対局は明日の9時から指し継がれる。控室の
封じ手の本命は△8六歩で一致した。△4五同歩だと4手前のコメントに記した▲4五同桂以下の筋がある。
*明けて2日目。小牧市は晴れており、気温は37度まで上がるようだ。今朝は観戦ツアーのお客さんだけでなく、地元の中学生を中心とした児童、生徒も対局再開を観戦