# --- Kifu for Windows (Pro) V6.65.83 棋譜ファイル ---
対局ID:18926
記録ID:682fdf9a024ba089b871cd86
開始日時:2025/07/15 09:00
終了日時:2025/07/16 19:00
棋戦:伊藤園お〜いお茶杯第66期王位戦七番勝負第2局
戦型:
角換わり腰掛け銀持ち時間:8時間
秒読み:60秒
消費時間:131▲464△479
場所:
兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」備考:昼休前55手目41分\n2日目昼休前89手目22分\n
封じ手時刻:18:00<76手目>\n
図:投了
振り駒:なし
先手消費時間加算:0
後手消費時間加算:0
昼食休憩:12:30〜13:30
昼休前消費時間:55手41分
手合割:平手
先手:
藤井聡太王位後手:
永瀬拓矢九段先手省略名:藤井聡
手数----指手---------消費時間--
*藤井聡太王位(七冠)に永瀬拓矢九段が挑戦する伊藤園お〜いお茶杯第66期王位戦七番勝負(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟、特別協賛:伊藤園)は、藤井王位が
千日手指し直しを制して幕を開けた。王位が連勝して防衛に近づくか、挑戦者が返してタイに戻すか、第2局は7月15日、16日(火、水)に兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」で行われる。第2局の主催紙は神戸新聞社、協賛にアスタッフ株式会社がつく。先手番は藤井。持ち時間は各8時間。対局開始は9時。昼食休憩は両日とも12時30分から13時30分。1日目の18時を過ぎると手番の棋士が
封じ手を行い、2日目は9時から対局が再開される。立会人は福崎文吾九段、副立会は船江恒平七段、記録係は関祐人三段(井上慶太九段門下)が務める。また、観戦記は池田将之指導棋士五段が執筆する。
*第2局は1日目の朝を迎えた。本日の有馬温泉は晴れ。昨日は午後から強い雨が続いたが、それも止み、今朝は鳥のさえずりが聞こえる。
*8時40分永瀬が入室。灰色の和服と袴に茶色がかった緑の羽織り姿で、関係者に一礼して下座に着くと、手を組んで瞑想を始めた。
*8時49分、藤井が入室。こちらは薄い緑の和服と袴姿で、黄緑と薄い緑からなる縦縞の羽織りを着用。席の前で一礼を行ってから上座に着いた。
*8時50分、息がそろって一礼が交わされると、藤井が駒箱を手に取って駒袋に入った駒を盤に広げ、駒が並べ始められる。8時54分、すべての駒が並べ終えられると、両対局者は静かに対局開始を待った。
*
*【神戸新聞社】
*
https://www.kobe-np.co.jp/ *【伊藤園お〜いお茶】
*
https://www.itoen.jp/oiocha/ *【アスタッフ株式会社】
*
https://www.astaff-green.com/ *【第2局は有馬対局】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-7342.html *
*(棋譜・コメント入力=潤)
*(棋譜表示の*はコメント付きの指し手。【】内はブログやリンク記事。#は局後の感想が追記された指し手)
1手 2六歩(27) *9時、福崎九段が「定刻となりました。伊藤園お〜いお茶杯第66期王位戦七番勝負第2局、藤井王位の先手番で開始してください」と告げると両対局者は一礼。藤井は茶を口にしたあと、▲2六歩と飛車先の歩を突き出した。藤井が先手番での初手▲2六歩は、
千日手や
持将棋局を含めてこれが128局連続。成績は109勝11敗6
千日手1
持将棋。勝率は9割8厘。そのうち69局がタイトル戦での対局となる。なお、初手▲2六歩以外は藤井の場合は▲7六歩になるが、2021年4月を最後に、4年3ヵ月指していない。初手▲7六歩も5連勝中だが、ピタッと指さなくなった。
*
*【1日目スケジュール】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-df10.html *【1日目対局開始まで】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-b1f7.html 2手 8四歩(83) *第1局の
千日手指し直し局で後手番となった永瀬は
角換わりを自然に受けて立ったあと、7四歩保留型で
腰掛け銀にし、△4四歩〜△3一玉を急ぐ工夫を見せた。藤井が打開に苦しむ場面もあり、結果は実らなかったものの、内容的には永瀬が押していた局面もあり、藤井に新たな課題を突きつける形となっている。それから9日で本局を迎えており、連投があるかどうかがまずは注目だが、船江七段は前夜祭の戦型予想で3三金型
角換わりを予想していた。
*
*【1日目対局開始】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-8026.html 3手 2五歩(26) *◆藤井 聡太(ふじい そうた)王位(竜王・名人・王座・棋聖・棋王・王将)◆
*2002年7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身。杉本昌隆八段門下。2016年、四段。2021年、九段。棋士番号は307。
*タイトル戦登場は32回。獲得は竜王4期、名人3期、叡王3期、王位5期(永世王位)、王座2期、棋聖6期(永世棋聖)、棋王3期、王将4期の計30期。棋戦優勝は11回。
*
4手 8五歩(84) *この4手目が指されたところで、両対局者と記録係を残して関係者が退室した。
*
*◆永瀬 拓矢(ながせ たくや)九段◆
*1992年9月5日生まれ、神奈川県横浜市出身。安恵照剛八段門下。2009年、四段。2020年、九段。棋士番号は276。
*タイトル戦登場は16回。獲得は叡王1期、王座4期の計5期。棋戦優勝は3回。
*
5手 7六歩(77) *1手目で藤井の初手▲2六歩の採用について触れたが、4手目の局面から藤井がこの▲7六歩を選んで
角換わりを目指すのも49局連続と長く続いている。一時期は▲7八金からの
相掛かりも多く用いていたが、2022年6月の永瀬との棋聖戦五番勝負第1局が
千日手になってから、3年以上採用がない。なお、藤井が5手目に▲7八金を選んだ場合の成績は23勝2敗1
千日手で、勝率は9割2分。現局面は48勝7敗2
千日手1
持将棋で勝率8割7分3厘。傍目から見ると▲7八金を見送る理由が分からないが、藤井の中でその時々のテーマや興味があっての採用になっていることは間違いないだろう。
*
6手 3二金(41) *本局はABEMAで動画配信を行う。1日目は8時30分から19時30分まで、2日目は8時30分から23時まで。解説と聞き手はそれぞれ以下の通りだ。
*
*1日目解説:伊藤真吾六段、佐藤慎一六段
*1日目聞き手:本田小百合女流四段、竹部さゆり女流四段
*2日目解説:阿久津主税八段、阿部光瑠七段
*2日目聞き手:貞升南女流二段、武富礼衣女流二段
*
*【ABEMA 伊藤園お〜いお茶杯王位戦第2局1日目】
*
https://abema.tv/channels/shogi/slots/EudAzgPaq9iVT5 *【ABEMA 伊藤園お〜いお茶杯王位戦第2局2日目】
*
https://abema.tv/channels/shogi/slots/CNzNMk5WzqS2mV *【1日目動画情報】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-c69d.html *
7手 7七角(88) *藤井の今年度成績は8勝1敗(0.889)。
*通算成績は412勝84敗(0.831)。
*今年度の成績ランキングで現在、勝数9位タイ、勝率3位、連勝14位タイ(2回)。
*現在5連勝中。
*
8手 3四歩(33) *永瀬の今年度成績は13勝7敗(0.650)。
*通算成績は542勝244敗(0.690)。
*今年度の成績ランキングで現在、対局数1位、勝数1位、
*
9手 6八銀(79) *6八に銀を上がる。ここで△3三角なら▲同角成△同金の進行となりそうで、船江七段の3三金型
角換わりの予想が的中する。また、△7七角成ならノーマル
角換わりと呼ばれる形だ。
10手 7七角成(22) *永瀬は角交換を選択。戦型は第1局の
千日手局、指し直し局に続いて
角換わりとなった。
11手 同 銀(68) *藤井の本棋戦通算成績は34勝6敗(0.850)。第59期からの参加で今期が8期目。第61期に七番勝負に登場し、木村一基王位(現九段)から王位を奪取。以後、防衛を重ね、前期は渡辺明九段の挑戦を退けて5連覇を達成。棋聖に続き、自身2つ目の永世称号の資格を得た。七番勝負の成績は21勝4敗(0.840)。まだシリーズでの2敗目の経験がない。
12手 2二銀(31) ( 1:00/00:01:00)*永瀬の本棋戦通算成績は48勝19敗(0.762)。第52期からの参加で今期が15期目。七番勝負登場は今期が初。挑戦者決定リーグ入りは5回。今期は予選で野月浩貴八段、黒沢怜生六段、佐藤天彦九段、広瀬章人九段に勝って通過を果たすと、挑戦者決定リーグ白組で古賀悠聖六段、杉本和陽五段(現六段)、斎藤慎太郎八段、羽生善治九段、都成竜馬七段に勝って5連勝でリーグ優勝を決めた。さらに挑戦者決定戦では紅組優勝の佐々木勇気八段に勝ち、初めて王位戦七番勝負の舞台に立った。
13手 4八銀(39) *王位戦は新聞三社連合と日本将棋連盟が主催。新聞三社連合は、中日新聞(東京新聞)、北海道新聞、西日本新聞のブロック紙3社が連携を強化するため、1950年に設立された。後に神戸新聞と徳島新聞が加わり、現在は5社が王位戦と女流王位戦、囲碁の天元戦を主催している。番勝負の各対局ごとに、加盟社が交代で運営を担当する。
*
*【新聞三社連合の概要】
*
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/sansha.html *
*
14手 6二銀(71) ( 0:00/00:01:00)*対戦成績は藤井27勝、永瀬9勝(5
千日手)。本棋戦では今期の七番勝負第1局以外に第61期の挑戦者決定戦で顔を合わせており、いずれも藤井が勝っている。タイトル戦での顔合わせは6度目で、藤井とタイトル戦を戦った回数で永瀬は、これまで最も多かった渡辺明九段と並んだ。また、最初の3度は五番勝負だったが、今年に入って王将戦、名人戦、そしてこの王位戦と七番勝負が続いている。
15手 7八金(69) *第1局は
振り駒で永瀬の先手となった。この時点で第6局までの先後が確定。仮に一局のうちに
千日手指し直しに何度なっても、完全決着方式採用のため、次戦に勝敗決着局の手番が逆になって引き継がれるといったことはない。よって第1局の勝敗決着局の先手は藤井だったが、本局も藤井の先手となる。
*
16手 3三銀(22) ( 0:00/00:01:00)*有馬温泉は日本三古湯(愛媛県の道後温泉、和歌山県の白浜温泉)に数えられる名湯で、環境省が療養泉に指定する9つの主成分のうち、7つの成分を含む。古くは日本書記に記されており、豊臣秀吉や歴代天皇らも好んだ温泉郷である。鉄分を多く含み空気に触れると赤茶色に変わる名物的な「金泉」と炭酸泉やラジウム泉を総称とした無色透明の「銀泉」があり、現在も多くの観光客が訪れている。また、六甲山の森に囲まれており、観光客のみならず登山者にも利用が多い。
*
17手 4六歩(47) *4筋を突く。藤井は
腰掛け銀模様を目指した。永瀬が先手番だった第1局では相
早繰り銀、指し直し局の藤井が先手では相
腰掛け銀が指されている違いはあるが、ここまでは
角換わりシリーズとなっている。
18手 1四歩(13) ( 1:00/00:02:00)*「中の坊瑞苑」は1868年に創業。有馬の温泉街にある有数の老舗旅館である。場所は神戸電鉄「有馬温泉」駅から徒歩5分ほどで、館内には金泉と銀泉、両方の湯を引いている。王位戦の定宿であり、七番勝負が行われるのは43期目。第58期は同年に大規模な耐震工事が行われた影響で用いられなかったが、その期を挟んで43期連続で用いられている。最初の対局は1982年の第23期七番勝負第2局、▲中原誠王位−△内藤國雄九段戦(肩書きは当時)。記録係は船江七段や関三段の師匠である井上慶太九段(当時二段)だった。
*
*【中の坊瑞苑(1)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-dfb1.html *【中の坊瑞苑(2)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-fbc2.html 19手 1六歩(17) *すぐに端を受けておく。ここまでは12手目に18手目に永瀬が1分使った以外は時間の消費がなく、早いペースで指し進められている。
20手 7四歩(73) ( 0:00/00:02:00)*昨日は14時45分に検分が行われた。永瀬が照明が明るすぎる点を気にし、蛍光灯を消す調整があったこともあり、20分ほどを要した。また、対局開始前に永瀬には凍ったおしぼりが2本用意されることが決まった。第1局でも運ばれ、永瀬が気に入ったようだ。対して、藤井は温かいおしぼり1本と、いたってノーマルである。
*
*【検分】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-42ac-1.html *
21手 4七銀(48) *「予想通りの進行ですね。両者の人生を懸けた戦いといいますか、極めようとしている思いが感じられますね」(福崎九段)
22手 4二玉(51) ( 3:00/00:05:00)*居玉を解消。永瀬は
早繰り銀や
棒銀の余地を残しながら駒組みを進める。
23手 3六歩(37) *検分後に記念撮影と主催紙インタビューが行われたあと、17時からは有馬グランドホテルで前夜祭が開かれた。両対局者の挨拶は以下の通り(一部割愛)。
*
*永瀬「神戸は何度か訪れたことはありますが、有馬温泉に伺うのは今回が初めてです。後ほど、温泉にも入らせていただけるとのことで、とても楽しみにしています。対局場所の中の坊瑞苑様で先ほど検分をさせていただきました。瑞苑という名前は「良い場所」という意味だそうで、明日からの対局も集中できると思っています。神戸は神戸牛が有名ですが、たくさんいただくのは難しいので、堪能できるまでと思っています。明日からの2日間は集中して、熱戦を、よい将棋を、と思っています」
*
*藤井「有馬で対局させていただくのは今回で6回目で、毎年素晴らしい温泉とご馳走を楽しみにしています。神戸牛はどれぐらいいただけるのか分からないですが、そちらも楽しみにしたいです。先日の第1局を戦い、その中で深く読むという重要性、必要性を痛感させられました。明日からの対局ではそのことを意識して、一手一手しっかりと考え抜いて指していきたいです」
*
*【記念撮影とインタビュー】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-03af.html *【前夜祭(1)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-b995-1.html *【前夜祭(2)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-8f9f-1.html *【前夜祭(3)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-5d4f-1.html *
*
*
24手 6四歩(63) ( 0:00/00:05:00)*6筋を突いた。どうやら相
腰掛け銀模様に進めそうだ。
25手 6八玉(59) *藤井も居玉を解消。ここで△6三銀と立てば、端の関係以外は同型となる。
26手 6三銀(62) ( 0:00/00:05:00)*銀を立つ。第2局では△7四歩を保留して△5二金型をいち早く作った永瀬だが、本局では現代
角換わりの流行型に進む可能性が高そうだ。
27手 9六歩(97) *9筋を突いて受けるかどうか尋ねた。
28手 5四銀(63) ( 1:00/00:06:00)*受けずに
腰掛け銀に構えた。後手番ながら攻撃的な方針を見せる。先手が▲9五歩と伸ばす権利があり、後手は待ちの姿勢を取りづらくなる可能性がある。
*1手前まで59局あった前例がなくなっている。代えて△9四歩や△7三桂、△5二金などが指されていた。ただしまだ合流する可能性は十分にあるだろう。
*「△5四銀ですか。永瀬九段が少し工夫を凝らした印象の出だしですね」(船江七段)
29手 3七桂(29) ( 5:00/00:05:00)*ここで11局の前例に合流。
*本局で使用されている盤駒や脇息は日本将棋連盟関西本部所有のもので、駒は児玉龍兒師作の錦旗書が使用されている。
*
30手 4四歩(43) ( 1:00/00:07:00)*4筋を突く。後手はもう待機戦術にはなりそうにない。▲5六銀のあと、▲4五歩と先手に仕掛けの権利を与えているのがその理由で、その前に先攻を目指すか、仕掛けに対応するかといった将棋となりそうだ。
31手 4八金(49) ( 1:00/00:06:00)*前例は1局に。昨年11月のALSOK杯第74期王将戦挑戦者決定リーグ、▲永瀬−△近藤誠也七段(現八段)戦で現れており、永瀬が勝っている。
*藤井は4八に金を立つと、席を立つ。その後、1分ほどで対局室に戻ってきた。
32手 7三桂(81) ( 1:00/00:08:00)*▲永瀬−△近藤誠戦では△3一玉が指されていたが、永瀬は△7三桂と右桂の活用を優先させた。
33手 2九飛(28) ( 9:00/00:15:00)*福崎九段と船江七段は、前期七番勝負の決着局となった第5局でも、ここ中の坊瑞苑で立会人と副立会人を務めた間柄で、船江七段はこれまでの3回の同所での副立会人において、すべて福崎九段が立会人だった。また、福崎九段は現在、4期連続で同所での立会人を務めている。前夜祭で対局者が退室した後に行われたトークコーナーでは、話題が豊富で掛け合いの絶えない両者とその笑顔に、会場は大賑わいだった。まだ始まったばかりの1日目午前の控室でも関係者の心を鷲づかみにしていく様子が感じられ、特に福崎九段は本日も朝から絶好調ということをまずはお伝えしておこう。
*
34手 3一玉(42) ( 1:00/00:09:00)*ここで再び前例がなくなっている。代えて△6二金が2022年11月の第16回朝日杯将棋オープン戦二次予選、▲徳田拳士四段−△斎藤慎八段戦で指されていた(先手勝ち)。
35手 5六銀(47) ( 7:00/00:22:00)*
腰掛け銀に構えて▲4五歩を見せる。△6五銀や△7五歩▲同歩△6五桂のような攻めにも対応可能と見ている。
*2局の前例に合流しており、▲永瀬−△近藤誠戦でも指された局面となった。
36手 9四歩(93) ( 0:00/00:09:00)*ここで9筋を受けた。前例で永瀬は▲4五歩と開戦しているが、藤井の選択はどうか。また、▲6六歩と突いた将棋もある。
*10時、1日目午前のおやつが用意された。藤井は「白玉冷やしぜんざい」。永瀬は「季節のフルーツケーキ、マンゴージュース、パインジュース」。
*
*【1日目午前のおやつ】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-62f1-1.html 37手 4五歩(46) ( 9:00/00:31:00)*永瀬が離席から戻らぬなか、藤井はゆったりと▲4五歩を着手すると、席を立った。対局室は関三段のみとなり、しきりにペンを走らせている。
*
*【戦型は
角換わり】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-e51c.html 38手 4二飛(82) ( 4:00/00:13:00)*永瀬は対局室に戻ると、すぐに△4二飛と転回。自身の指した将棋の逆を持っての戦いで、前例の進行をたどっている。
*船江七段から「前例はあるんですかね」との声がし、前例の進行を確認すると、「あっ、めちゃくちゃ最近の将棋ですね」と苦笑いを浮かべる。進行を聞いただけでいつに指された対局なのかを思い出せるのは、さすがというよりない。
*10時18分、藤井は羽織りを脱ぐと、丁寧に折りたたんで自身の左に置いた。永瀬は左に傾けながらの前傾姿勢で、額に手を当てている。
*控室では福崎九段と船江七段による継ぎ盤検討が開始されている。前例は▲4四歩△同銀▲7九玉の進行だが、「何かいつでも飛車で金取りが掛かる形で、先手を持ってめちゃくちゃ怖い気がするんですが」と、船江七段。代えて、ここで単に▲8三角を挙げ、以下△5二角の進行を福崎九段も「それが自然な進行のように思いますけど。先手の角はなかなか取られそうにないですし」と、同調。△5二角以下▲6六銀△7一金▲7五歩△同歩▲同銀が並ぶと、後手側に座る船江七段は「もうどう指していいか分からないです」と言って苦笑いを浮かべた。
*「このあたりは両者とも研究をし尽くしているんでしょうね。僕は▲8三角を予想します」(福崎九段)
*藤井が40分以上考えている。船江七段は「▲4四歩か▲8三角しかないと思いますが、考えられているということは▲8三角かもしれないですね」と述べた。
39手 8三角打 (51:00/01:22:00)*51分の長考で角を打っていった。
*「あ、ソフトタッチで指したね」(福崎九段)
*「さすが、福崎先生、当たりましたね」(船江七段)
*「いやいや、二択やったやん」(福崎九段)
*「次の手は当てる自信あります。△5二角」(船江七段)
*「それ、一択やん」(福崎九段)
40手 5二角打 ( 1:00/00:14:00)*角には角。金取りと▲7四角成を防ぐにはこの一手だ。
41手 6六銀(77) (12:00/01:34:00)*銀を出ていく。△7一金には▲7五歩△同歩▲同銀のほかに、▲5五銀左があるようだ。以下△同銀▲同銀に△8二金で角の行き場がないが、▲5一銀が用意の切り返しで先手よし。△8三金には▲4二銀成から▲8一飛で竜を作りながら駒を取れる。
42手 4五歩(44) ( 1:00/00:15:00)*4筋の歩を取っておく。次に△4六歩でプレッシャーを掛けるほか、△8六歩と突き、▲同歩なら△8二歩で角を捕獲する狙いがある。
43手 7五歩(76) ( 1:00/01:35:00)*ゆっくりとしていられないのは百も承知とばかりに、すぐに7筋を突き出した。
44手 6三銀(54) ( 1:00/00:16:00)*すんなりとは馬を作らせない。▲4五桂が生じるが、▲3三桂成や▲5三桂成に△4八飛成と
王手で金を取れるため、余裕がある。もちろん、△4四銀と逃げて△4五銀を目指すのもあるだろう。
*展開としては藤井の攻めに永瀬がカウンターや駒得を狙っていく将棋になりそうだ。ただし次にすぐ△7二金は、▲同角成△同銀に▲6二金があってやりにくそうだ。
45手 4五桂(37) ( 3:00/01:38:00)*3分で桂を跳ねていく。後戻りできないため決断の一手でもあるが、このあたりはまだ研究の可能性もある。
46手 6二金(61) ( 1:00/00:17:00)*金を立って▲5三桂成に△同金を用意しながら角を切られる手を消した。このあとは△4一飛〜△8一飛のような順で角を取りにいくことも可能だ。
47手 4六歩打 ( 2:00/01:40:00)*歩を打って▲3三桂成のときの△4八飛成を拒んでおく。△4四銀が先手にならない予防にもなっている。
48手 4一飛(42) ( 1:00/00:18:00)*銀を逃げない。飛車を引いて▲3三桂成△同金のあとの▲5一銀を消しながら△8一飛の転回を見せた。
*控室を離れていた船江七段は戻ると、「めちゃくちゃ進んでますね」と驚きの声を上げる。永瀬はここまで38手目に使った4分が最長考慮で、その4分には席を外していた時間が含まれる。まだまだ研究範囲と見てよさそうだ。
*「このままのペースだと、1日目で3時間ほどの差がつくかもしれません。ここもすぐには指せないでしょうし。(1)▲3三桂成は△同金や△同桂のあと△4六飛と走られる手が残り、歩切れの先手は対策が必要になります。(2)▲7四歩がありそうで、△同銀▲5三桂成△同金▲7二角成の順はいかにもプロっぽい順です。ただしいずれにしても言えることとして、
千日手の心配はいまのところないでしょう」(船江七段)
49手 3三桂成(45) (16:00/01:56:00)*16分で銀を取った。
50手 同 金(32) ( 1:00/00:19:00)*「△4六飛があるので先手も忙しいです。▲3五歩が筋ですが、大人は▲4五歩のような手でしょうか」(船江七段)
51手 3五歩(36) ( 2:00/01:58:00)*藤井は筋の▲3五歩を選択。
52手 同 歩(34) ( 1:00/00:20:00)*ここもすぐに△3五同歩と応じた。
*別室に移動していた福崎九段が、
封じ手を入れる封筒に署名を終えて控室に戻ってきた。まだ午前中だが、仕事が早い。
53手 4五歩(46) ( 0:00/01:58:00)*3筋の突き捨てを入れておいてから4筋を伸ばす。藤井が席を立つと、永瀬は天井に視線を飛ばして止まった。
*「そうですね。▲7四歩は保留して△8一飛と回らせて▲7四角成と指したいように思いました」(船江七段)
54手 7五歩(74) ( 1:00/00:21:00)*歩を取り払って▲7四歩や▲7四角成を消した。▲7五同銀と呼び込んでも問題ないと見ており、そこで後手に手が広い。例えば、△7一桂と打てば角を取れる。
*「▲7五同銀以外の手があるんですかね。△7一桂には▲8四銀△8三桂▲同銀成で▲4四桂を狙って」(船江七段)
*「▲4四銀もありますか」(福崎九段)
*「あっ、▲4四銀ですか。なるほど。△同金▲同歩△同飛には▲4五金から▲2四歩で。取らずに△3四金とかのときにどうかですよね。まあでもここは指さずに休憩ですか」(船江七段)
*
*この局面で12時30分となり、1日目の昼食休憩に入った。この手に藤井が考えた時間は41分。ここまでの消費時間は▲藤井2時間39分、△永瀬21分。1日目の昼食は藤井が「神戸牛すき鍋膳」。永瀬が「神戸牛肉うどん膳の大盛り」。普段は大盛りは扱われておらず、本局では特別に用意された。対局は13時30分に再開される。
*
*13時30分なって対局再開。しかし、藤井はすぐには指さない。扇子を手に考慮にふける。さらに考え続け、昼食休憩を挟んでの考慮は1時間を超えた。
*「これだけ考えられているということは、▲4四銀なのかもしれないです」(船江七段)
*
*【1日目正午の控室】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-1b82.html *【1日目昼食休憩】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-70fe.html *【1日目対局再開】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-4672.html 55手 4四銀打 (61:00/02:59:00)*13時50分、昼食休憩を挟む1時間1分の長考で銀を打っていった。
*「4四には本当は桂を打ちたいところなんですよね。△3四金のときにいい攻めがあるかどうかですが、あるということです」(船江七段)
56手 3四金(33) ( 1:00/00:22:00)*3四に逃げておく。△3二金は▲2四歩△同歩に飛車先交換のほか、▲3五銀から▲2四銀のような順も気になった。
57手 7五銀(66) ( 2:00/03:01:00)*銀打ちを入れておいてから逆方向を攻める。△7四歩には▲同銀の強襲があるか。△同銀▲同角成△同角に▲4三銀打と金を狙っていく。受けにくそうではあるが、先手の駒損も大きい。
58手 7四歩打 ( 0:00/00:22:00)*逆に打たせてはダメとすぐに歩を打つ。永瀬の研究はまだまだ続いていそうだ。
59手 8四銀(75) ( 4:00/03:05:00)*▲7四同銀は見送り、8四に逃げておく。次に▲7三銀成△同金▲5三銀成△8三金に▲5五桂の攻めがあり、そう進めば先手が指せていそうだ。後手は玉飛接近形がつらい。
60手 4二玉(31) ( 1:00/00:23:00)*4二に玉を移動。玉自ら5三に利かせることで、▲7三銀成△同金に▲5三銀成に△同玉を用意した。ただし飛車が攻めに働かなくなっており、方針を受けきりに定めた一手と言えそうだ。それにしてもこの中盤の難所で1分で指せる手では普通はないが。
61手 3九飛(29) (15:00/03:20:00)*飛車を寄って▲3五銀を見た。後手は直接的な受けは△3一飛か△3六桂、△4三桂になるが、4三に桂を打つのはいつでも▲4三銀成から▲5五桂の筋があってかなり打ちにくい。
62手 3六桂打 ( 1:00/00:24:00)*1分で△3六桂。永瀬の早指しは終わりを見ない。
63手 3八金(48) ( 4:00/03:24:00)*3八に逃げて△2八桂成を許さない。また、いつでも▲3七歩で桂を取ることが可能だ。
*この手に藤井が4分使い、消費時間の差は3時間に広がっており、船江七段の未来予想が14時23分にして的中した。
*「もうあと何手かは永瀬九段は早く指すと思います。ここで止まるということはないですね」(船江七段)
64手 4三歩打 ( 3:00/00:27:00)*歩を打って銀を追い払いにいく。3分の考慮。
*「打っておきますよね。人間の手です。△8六歩と突くのがソフトの手のような感じのイメージでした」(船江七段)
65手 5五銀(44) ( 0:00/03:24:00)*本日の神戸新聞観戦記は、第36期女流王位戦挑戦者決定戦の▲西山朋佳女流三冠(現女流二冠)−△伊藤沙恵女流四段戦の第2譜が大川慎太郎さんによって執筆されている。
*
66手 8六歩(85) ( 1:00/00:28:00)*船江七段が「いつかは突きたい」と言っていた8筋の突き出しをここで敢行。▲8六同歩は△8二歩で角を取れる。
*「へー、△8六歩。△5四歩の確率が8割、△8六歩が2割と見ていましたが、何故△5四歩を入れないほうがいいのかが分かりません。先手はここは▲7五歩の一択でしょう」(船江七段)
67手 3七歩打 ( 9:00/03:33:00)*8筋を相手にしないところではあったが、桂取りの歩は言及されていなかった。
*「△8七歩成▲同金△8二歩は後手を持ってうれしいように思うんですけどね」(船江七段)
68手 8七歩成(86) ( 3:00/00:31:00)*歩を成って△8二歩を可能にした。
69手 同 金(78) ( 0:00/03:33:00)*先手陣はバラバラの状態で角を取られることになるが、藤井にどれくらいの成算があるか。
70手 8二歩打 ( 0:00/00:31:00)*これで角の入手が確定。▲3六歩△8三歩となれば角銀交換で後手の駒得となる。
*手数は早くも70手。永瀬はここまで35手を指しているわけだが、ここまでの消費時間は31分で、1手平均1分に満たない。また、時間が記録された手は19手で、その手のみで平均値を出しても2分に満たない。かなり前に前例を離れており、また、持ち時間8時間のタイトル戦を思えば異次元の早さだ。
71手 9四角成(83) (15:00/03:48:00)*歩を剥ぎ取っておく。△9四同香に▲9五歩から香を回収できるようにする工夫だ。ただ、香を取りにいく前に先に▲3六歩かもしれない。
*15時、1日目午後のおやつが用意された。藤井は「紅茶とオレンジのベリーヌ、アイスレモンティー」。永瀬は「カルマ、マンゴジュース、パインジュース、アイスミルクティー」。
*席を外していた永瀬が戻ってきた。取る一手だが永瀬はすぐに指さず考えており、永瀬の最長考慮時間がここで更新となる。
*「△2八桂成はあるかもしれません。確率は1%くらいかなと思いますが、プロ的には考えます。▲2八同金とさせることで形を乱せますので。ただ、飛車先も通るのでお手伝いになる可能性もあって、ここで△2八桂成がいいという結論になる人は強すぎます」(船江七段)
*継ぎ盤には△2八桂成▲同金△9四香▲9五歩△6五桂▲3八金が並び、後手を持って自信がないとされた。次に▲9四歩となれば▲銀香△角の2枚換えで、後手の駒得が消える。
*「△2八桂成は幻ですかね」(船江七段)
*
*【1日目午後のおやつ】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-59ae-1.html *
*※局後の感想※
*「割とずっと本線で進んでいました」(永瀬)
*本譜の△2八桂成に代えて△9四同香は、▲3六歩△同歩▲4六銀の展開のときに、自陣のキズの多さが気になったと永瀬。
72手 2八桂成(36) (29:00/01:00:00)*幻ではなかった。永瀬は29分使って桂を成り捨てる。永瀬の消費時間はようやく1時間に達した。藤井の表情は全く変わらない。
73手 同 金(38) ( 1:00/03:49:00)*成桂を取る。▲7六馬△3九成桂▲同金は自陣がバラバラで、飛車を渡すとまとめきれないと見たのだろう。
74手 9四香(91) ( 0:00/01:00:00)*先手陣を乱してから馬を取った。(1)▲9五歩にはどう指すか。(2)▲4九飛も4八の地点のキズを消す攻防手で難敵だ。
*
*【挑戦者、初の長考】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-f8d3.html 75手 3八金(28) ( 5:00/03:54:00)*藤井は金を戻して遊び駒や浮き駒をなくした。ただし先手の右辺は壁形になったということはある。
*現局面は71手目から△9四同香▲3六歩と進めた順と比べ、先手の3筋の歩の位置が異なる。後手がすぐに▲3五歩から攻められる順を拒むことに成功したと見るのが自然ではあるが、藤井は悔しい素振りも見せずに受け入れて▲9五歩を楽しみにした。
*永瀬は盤に近づいて考え込む。考慮は30分を超えた。
封じ手時刻までは2時間を切っており、もう数手しか進まないかもしれない。例えばここで直接手としては△5四歩くらいだが、その手に対しても▲4六銀や▲6六銀のほか、▲4六桂や▲5四同銀△同銀に▲4六桂の攻め合いなど、選択肢が多い。
*永瀬が離席すると、藤井は棋譜用紙を借りてしばらく目を通したあとに記録係に戻した。やがて扇子を手に取ると、クルッと1回転させる。
*「考えていますね。確かに、△5四歩くらいしか手が見えないんですけど、▲4六銀と引かれているとまたそこで手が分からないです。△5四歩▲4六銀の交換が得かどうかも分からないですし」(船江七段)
*16時35分、永瀬の考慮が1時間を超えた。
*「中盤の難所ですね。先手は▲9五歩と突く手があって分かりやすいです。後手は△5四歩▲4六銀△6五歩としても角を6四に飛び出せるわけではないですし。△5四歩でないとすれば△3三桂のような手でしょうか」(福崎九段)
*17時35分、永瀬が考え続けている。2時間を超える大長考となった。
*「指されるかなと思いましたが、ここで
封じ手の可能性も高くなってきましたね。
封じ手時刻になっても考え続けるといったこともあるかもしれないです」(船江七段)
*17時53分、福崎九段と船江七段が対局室に入った。どうやらこのまま
封じ手となりそうだ。
*18時、福崎九段が永瀬の次の手が
封じ手になることを両対局者に告げる。永瀬はすぐに封じる意思を示し、
封じ手一式を手にして部屋を出ていった。
*18時5分、永瀬が
封じ手の記入を終え、対局室に戻ってきて藤井の右側に置く。藤井は封筒2通にサインし、永瀬の左側に戻す。永瀬から福崎九段に手渡された後、福崎九段によって1日目の終了が告げられ、両者は一礼を交わした。
*
*この局面で永瀬が次の手を封じ、1日目が終了した。
封じ手に使った時間は2時間24分。1日目の消費時間は▲藤井3時間54分、△永瀬3時間24分。2日目は明日9時に同所で指し継がれる。
封じ手予想は、船江七段、関三段、池田指導棋士五段が△5四歩で、関三段は△5四歩に▲同銀がやや気になるとしながらも、以下△同銀▲4六桂△6三角▲3四桂△5三玉の進行は、後手を持ってみたいとのことだ。福崎九段は△3三桂を予想しており「恐らくみんな△5四歩なのでしょう。でしたらちょっと博打気味に」と、△3三桂にした理由を述べた。
*
*現地は2日目の朝を迎えた。本日の有馬は雨で、神戸市はゲリラ豪雨に見舞われている地域がある。この雨は昼頃には止む予報だ。
*8時38分、永瀬が入室。一礼後に下座に着くと、手荷物から扇子を取り出して膝元に置いた。
*8時47分、藤井が入室。席の前で一礼後に上座に着くと、信玄袋から扇子、フェイシャルペーパー、ハンカチ、スタンドタイプの時計を取り出して準備を整えていく。
*8時49分、駒が並べられていく。歩は最初のうちは並べる位置に近いものを手にとっていた両者だが、少なくなってきた際にはともに取りやすい位置の歩を取っていた印象だ。
*8時53分、駒が並べ終えられると、関三段によって1日目の指し手が述べられ、盤上に再現されていく。59分、この▲3八金までが並ぶと、福崎九段が「
封じ手を開封します」と告げて立ち上がった。いよいよ2日目が始まる。
*
*【有馬温泉のアクセス】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-e7d3.html *【
封じ手に入るか】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-e875.html *【永瀬九段の手番で
封じ手に】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-f513.html *【
封じ手直後の対局室】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-5d28.html *【
封じ手は?】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-1c85.html 76手 5四歩(53) (144:00/03:24:00)*福崎九段が
封じ手用紙の入った封筒にハサミを入れ開封。
封じ手用紙を出し、両対局者の前で2通を広げる。
封じ手は△5四歩で、大方の予想通りだった。福崎九段は席に戻ると、「時間になっておりますので、対局を再開します」と告げて2日目が開始された。
*2日目もABEMAで動画配信を行う。放送は8時30分から23時まで。解説と聞き手はそれぞれ以下の通りだ。
*
*2日目解説:阿久津主税八段、阿部光瑠七段
*2日目聞き手:貞升南女流二段、武富礼衣女流二段
*
*【2日目スケジュール】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-1be2.html *【2日目動画情報】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-d8c8.html *【
封じ手は△5四歩】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-c39f.html *【
封じ手開封】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-91fc.html 77手 4六銀(55) ( 0:00/03:54:00)*藤井はすぐに▲4六銀と引く。▲6六銀と比べて△6五桂のときに▲6六歩と突く手が可能なほか、▲3六歩と突いた際に攻めで働く。▲4六桂が打てなくなったということはあるが、▲2六桂は残るのでその点は気にならないか。
*
*※局後の感想※
*本譜は△5一玉だったが藤井は△4四歩を気にしていた。以下▲同歩△3三桂▲3六歩△4四金のあと、△5五金とぶつけて▲同銀直△同歩となると△4三角が金取りになる。
*「△4四歩もありましたかね」(永瀬)
*「でも、4六の銀も堅いですか」(藤井)
78手 5一玉(42) ( 8:00/03:32:00)*元の位置に玉を戻した。飛車に活を入れる手で攻めを主眼としている。控室では「何故か喜んでという言葉が自然とついちゃうけど」の言葉とともに▲9五歩が示される。玉が戦場に近づいてきてくれてありがたいというニュアンスで、船江七段は60手目の△4二玉に代えて△2二玉が本線予想だったことを述べる。継ぎ盤では検討が開始され、現局面から▲9五歩△4四歩▲同歩△3三桂が並ぶと、先手側に座る船江七段から犠打気味の▲4三桂が放たれる。それを見た後手側の福崎九段は「嫌な人」と、女性言葉を真似て不機嫌になってみせる。ただし以下△4二玉で先手思わしくないことが分かると、元気になった。
*「△5一玉は一晩考えてきた手でしょうね。ここで▲9五歩だとパタパタ進むかと思いますが、それ以外の手だと永瀬九段は考えるように思います。後手は玉の安住の地がなく、まとめるのが難しい将棋の印象はありますね」(船江七段)
*藤井が25分ほど考えている。永瀬が席を外す間、脇息越しに扇子を鳴らしていた。控室では先手の指しやすさが示されることが多くなってきており、船江七段は▲9五歩から香を入手した際の価値の高さに言及した。
*10時、2日目午前のおやつが用意された。藤井は「マンゴーショート、パインジュース」。永瀬は「マンゴーショート、マンゴージュース、パインジュース」。
*
*【2日目午前のおやつ】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-ee89.html *
*※局後の感想※
*本譜の▲9五歩に代えて▲3六歩は、△4四歩▲3五歩△2五金が永瀬の予定。
*「香を取れていないのでちょっと変ですか」(藤井)
79手 9五歩(96) (55:00/04:49:00)*55分の長考で香取りに歩を突き出した。△4四歩▲同歩△3三桂には(1)▲3六歩が銀の進出路を作って自然な対応。そこで△6五桂が強敵と見れば、(2)▲7三銀成を選択することになりそうで、ひょっとするとこの▲9五歩で先に▲7三銀成もあるかと話されていた。ただ、▲7三銀成△同金▲9五歩は先に銀を渡して香を取りにいく順でかなり指しにくく、本譜が自然と言われていた。
*永瀬が30分ほど考えている。ここで△6五桂を先にし、▲9四歩△4四歩▲同歩△3三桂とするのは▲4七香がピッタリ。ただ、玉を引いた以上4筋から攻めていかなければ、変調を感じる。
*10時40分、雨は上がり、青空が広がり出している。
*
*【観戦記】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-9fb0.html 80手 4四歩(43) (42:00/04:14:00)*42分の長考で4筋を突き出す。永瀬の反撃が始まった。
*
*【反撃開始】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-5e45.html 81手 同 歩(45) ( 0:00/04:49:00)*放置は△4五歩が厳しかった。すぐに▲4四同歩と応じる。△4五歩には▲同銀左△同金▲同銀と自然に応じてよさそうだ。以下△3三桂には▲4三桂△4二玉の交換を入れて▲3四銀と出れば、△同角がない。
82手 3三桂(21) (11:00/04:25:00)*桂を跳ねて力をためる。次の△4五歩や△4四飛を厳しく見た。(1)▲9四歩△4五歩▲5五桂△同歩▲同銀右の進行はどちらが指せているか。駒割りは▲銀香△角桂で後手駒得だが歩切れで、5五の銀の存在も大きい。(2)▲3六歩には△6五桂でさらに力をためておく。▲7三銀成から逃れておくのも大きい。(3)▲7三銀成△同金の交換を入れておいて▲3六歩が有力のようで、△6五桂を防ぎながら銀をさばけるのを大きく見ている。
83手 9四歩(95) (33:00/05:22:00)*堂々と▲9四歩と香を取る。△4五歩を恐れない強手で、藤井は攻め合いの方針を見せた。△4五歩のときの手はもう決めているはずで、前述した▲5五桂のほか、▲3五銀や▲7三銀成、▲5三香や▲4三香のような手も映る。
84手 4五歩打 ( 5:00/04:30:00)*「どうするんでしょうね。手が広いです」(船江七段)
85手 5五桂打 ( 5:00/05:27:00)*歩頭に桂を打ち込むと、藤井は足早に部屋を出ていった。
*「桂でしたか。いちばんやってみたい手かなという印象ではありました」(船江七段)
*(1)△5五同歩▲同銀右のほかに、(2)△4四飛▲6三桂成の順もあるようで、そこで△同金か△6三同角か、悩ましいようだ。
*
*【強烈な歩頭桂】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-8346.html *
*※局後の感想※
*本譜の△4四飛に代えて(1)△5五同歩は▲同銀から▲5四香。ほかに△4四金は、▲4二歩が厳しい。
86手 4四飛(41) (16:00/04:46:00)*銀を取るのではなく、飛車で歩を取り払った。△4六歩は▲6三桂成や▲4三歩成などで攻められて厳しかったのかもしれない。
87手 6三桂成(55) ( 1:00/05:28:00)*銀を取る。△6三同金や△6三同角に勢い重視なら▲5五銀右だ。
88手 同 角(52) ( 3:00/04:49:00)*角で取り払う。金は低い位置でキープして玉の守りに専念させた。ただし6四の地点への利きがなく、▲5五銀右をやりやすくなっている。
*「(1)▲5五銀右は△同歩▲同銀△4一飛▲6四銀に△5六歩の反撃が嫌なんですよね。重いんですけど(2)▲5五銀打とし、△同歩▲同銀右△4一飛▲6四銀もあるかもしれず、それだと△5六歩がありません。ほかに(3)▲5三香もよさそうな手で、ちょっと△4一玉とは逃げにくいように思いますので△5二桂なんでしょうけど、そこで▲5五銀右△同歩に▲同銀が相当な迫力です。いま12時10分を回ったところですか。ここで昼食休憩ですね。指し手は分かりませんが、これは当たると思います」(船江七段)
*控室では
千日手の順もあると言及されている。(1)の変化で△4一飛に代えて△6五桂と攻め合う順で、以下▲4四銀△同金▲2一飛△5二玉▲2二飛成△4二銀▲3一銀△5三銀打▲4二銀成△同銀▲3一銀△5三銀打と進めば
千日手模様。ただしここで(2)の▲5五銀打か(3)の▲5三香、あるいは(4)▲7三銀成を選ぶ可能性が高いと見られている。
*
*この局面で藤井が22分考えて12時30分となり、2日目の昼食休憩に入った。ここまでの消費時間は▲藤井5時間50分、△永瀬4時間49分。2日目の昼食は藤井が「淡路産鱧と夏野菜の天婦羅とうどん膳」。永瀬が「神戸牛肉うどん膳の大盛り、アイスミルクティー」。対局は13時30分に再開される。
*
*13時30分に対局再開。藤井は指すことなく考え続けている。残り時間は2時間を切った。
*
*【2日目昼食休憩】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-7583.html *【2日目対局再開】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-cbd8.html *
*
*※局後の感想※
*永瀬は(2)の▲5五銀打が分かっていなかったとのこと。藤井は「それぐらい謙虚にやるべきでしたか」と述べると、△5五同歩▲同銀右△6五桂▲7三銀不成△同金▲6五銀△同歩▲4四銀△同金が並べられ、「何かいけそうな気がします。そうか、(▲5五銀打を)打てましたか」との感想を述べた。また、△5五同歩で△4六歩▲4四銀△同金にも言及されたが、後手がやりにくい順とされた。
*「基本、粘り気味に考えていました。でも、何かこちら変な手を指しましたかね」(永瀬)
89手 7三銀成(84) (40:00/06:08:00)*13時48分、藤井の手が動き、▲7三銀成と桂を取った。船江七段は「そうやるもんですか。強い人は違いますね」と、感嘆の声を上げる。△7三同金▲5五銀右△同歩▲同銀のときに、△6五桂と跳ねる手がなく、
千日手のコースはなくなった。上記▲5五同銀以下、△4一飛▲4二歩△同飛▲5四桂△1二飛に▲4三歩が継ぎ盤に並ぶと、後手側に座る船江七段は「いやー、全然自信ないです」と顔を崩す。
90手 同 金(62) ( 6:00/04:55:00)*▲5五銀右△同歩▲同銀に飛車を逃げない手があるかどうか。△5六歩は▲同歩と取られておいて攻めが難しそうと、船江七段。
91手 5五銀(46) ( 2:00/06:10:00)*取られそうな銀を別の場所で取らせにいく。△5五同歩に▲同銀となれば、攻めで働きが難しかった5六の銀が、一気に主役の座に躍り出る。
*永瀬はすぐには指さない。△5五同歩取る一手と見られているが、▲同銀のあとを考えていると控室は見ている。△4一飛以外に△4三飛や△5六歩、△7五桂のような手も示されているが、基本的に先手が指せる変化が多い。例えば△7五桂は▲4四銀△同金▲5三銀△8七桂成▲7一飛△6一銀に▲7三飛成で後手玉は▲4二金までの
詰めろ。先手玉に詰みはなく先手勝勢だ。このときに△5六歩▲同歩の交換が入っていれば、上記▲7三飛成以下△5七銀▲同玉△4六角から先手玉は詰みで、逆に後手勝ち。ただし△5六歩▲同歩△7五桂には▲7七金と逃げておき、後手が歩切れで△4三飛に▲5四香が厳しく刺さる。
*14時57分、永瀬の考慮が1時間を超えた。藤井との差は15分にまで迫っている。昨日の今頃は3時間以上開いていたがここまで迫るとは。
*15時、2日目午後のおやつが用意された。藤井は「有馬天然サイダー、マンゴージュース」。永瀬は「アイスミルクティー」。
*対局室はカーテンが閉められ、藤井がちらっとそちらに目をやった。また、永瀬からは凍ったおしぼりの追加が頼まれている。
*15時12分、ついに両者の消費時間が6時間10分で並んだ。
*
*【温泉】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-00cc.html *【2日目午後のおやつ】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-4a35-1.html 92手 同 歩(54) (78:00/06:13:00)*1時間18分の長考で△5五同歩と銀を取った。
93手 同 銀(56) ( 0:00/06:10:00)*藤井はいったん駒台の駒を整えてから、▲5五同銀と歩を取り返す。
*「ここですね」(福崎九段)
*「自分の実戦だったら△5六歩と打ちそうですけど」(船江七段)
*
*【攻めの手がかり】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/15-12da.html *
*※局後の感想※
*本譜は△4六銀だったが「第一感は△5六歩だった」と、永瀬。以下▲同歩に△7五桂▲7七金△4三飛や単に△4三飛などでどうかとされた。
94手 4六銀打 (12:00/06:25:00)*永瀬は4六に銀を打って▲4四銀を催促に出た。検討には挙がっていなかった手で、後に△5七銀成からの殺到を用意した手でもある。
*「これは考えますね。30分は使うと思います。さすがに知らない手を指してきますね」(船江七段)
*▲4四銀△同金(1)▲5三銀△4三金が継ぎ盤に並ぶ。先手はあまり駒を渡しすぎるとトン死や
詰めろ逃れの
詰めろなどですぐに敗勢となる恐れもあり、神経を使う。続いて(2)▲7一飛△6一桂▲5三桂がどうかとされたが、それは△4二玉で後手がいなせそうとされた。
*永瀬は棋譜用紙を手に取るとしばらく見つめてから記録係に返した。藤井は扇子の先を持ち、クルクルと回す。
*15時58分、船江七段の予想通り、藤井の考慮が30分を超えた。船江七段は(3)▲2二飛を示すも、△5二歩▲2一飛成△6二玉▲8五桂のとき、△5七銀成▲同玉△4六角▲6六玉△6五銀▲7七玉に△7六銀打が激痛で先手が勝てないとした。以下、清算で応じるのは△5四角が
王手竜取りになる。
*「ダメだ、寄らない」(船江七段)
*現在は(1)▲5三銀の検討に戻っている。△4三金▲7一飛△6一桂▲6二香△5三金▲6一香成△4二玉▲7三飛成△5七銀成▲7八玉が並ぶ。やがて、(4)▲5六香と打ち、△5五銀▲同香△5二歩▲5六桂△4二飛▲4三歩△1二飛▲4二銀△6一玉▲9三歩成を船江七段がひねり出した。
*「当てたいな―、当たらないかな―」(船江七段)
*40分使ったところで藤井の手が動き、駒台へと運ばれた。
95手 5六香打 (40:00/06:50:00)*「おー」と控室で歓声が上がる。検討の最後に船江七段から出た香打ちが放たれた。先に▲4四銀△同金を決めて▲5六香だと△5五歩があったが、本譜だとそれがないのが藤井の主張。ここから△5五銀▲同香に(1)△5四歩なら▲5三銀で先手が勝ちとされており、(2)△5二歩と打つだろうと言われている。
*
*【神社巡り(1)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-25aa.html *【神社巡り(2)】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-75f1.html 96手 5五銀(46) (23:00/06:48:00)*永瀬は着手前に記録係にこの手に使った考慮時間を確認。23分の声を聞いてから銀を取った。
97手 同 香(56) ( 0:00/06:50:00)*藤井はすぐに銀を取る。
98手 5二歩打 ( 0:00/06:48:00)*低く受けておく。5二の空間を埋めておくのも大きそうだ。
99手 5六桂打 ( 5:00/06:55:00)*飛車を目標にした。銀で取れていただけに、不思議な手順だ。
*90手台の指し手が1手を除いて5筋での着手が続いた。その結果、盤上から銀が消えている。2枚ずつ持ち合った銀の働きが勝敗の鍵を握るかもしれない。
*
*【ABEMA出演】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/abema-102c.html *
*※局後の感想※
*「このあたりは自信がなかったです」(藤井)
*「よくあってほしいなと」(永瀬)
*本譜の△4二飛に代えて△5四飛が示されると、「そういう手があるんですか」と藤井。永瀬は「断念しました」と返し、▲5四同香△同角▲7六歩△7五桂▲7七金△8八銀▲7五歩で先手が余しているとされた。
100手 4二飛(44) ( 7:00/06:55:00)*この場合は二段目に逃げる。△4一飛は▲4二歩ではなく、▲3二銀と絡まれそうだった。
*「ここで▲4三歩に△同飛もあると思いますが、普通は△1二飛だと思います」(船江七段)
*手数は100手に到達している。
*
101手 4三歩打 ( 1:00/06:56:00)*追撃の歩打ち。△4三同飛には▲4四歩だろう。△1二飛にはどうするか。▲4二銀は
王手で気持ちいいが、後の使い方となると難しい。
*「△1二飛には▲4二銀ではなく▲2四歩かもしれないですね」(船江七段)
*永瀬が先に残り1時間を切った。藤井の残り時間は1時間4分。
*
*※局後の感想※
*本譜の△1二飛に代えて△4三同飛は▲4四歩△同金▲3二銀で先手よし。
102手 1二飛(42) ( 6:00/07:01:00)*遠く1二まで逃げておく。2二だと▲3一銀のような手を気にしたのかもしれない。
*ここで▲2四歩には手抜きになるか。△同歩は▲2三銀が飛車金両取り。△2四同金も▲4二銀から▲3三銀不成がある。ただし手抜きも厳しく攻め立てないと、▲2三歩成が相当にきつい手だ。
*藤井も残り1時間を切った。どちらも秒読みに入ることが予想されるが、ともに一分将棋になる展開も十分にあるだろう。
103手 2四歩(25) (24:00/07:20:00)*2筋を突き出す。対して、面倒を見るなら△2四同金。攻め合いなら△7五桂になるか。控室では△2四同金が予想されている。永瀬の棋風ならそちらということもあるかもしれない。
*
*※局後の感想※
*本譜の△7五桂に代えて△4六銀は▲2三歩成△5七銀成▲同玉△4六角▲5八玉△5七銀に▲4九玉で「攻めきれないと思った」と、永瀬。
104手 7五桂打 ( 4:00/07:05:00)*金取りに桂を打った。指せていると見たか、相手をしにくかったか、永瀬の回答は手抜いての攻め合いだった。
*今度は藤井が答える番。攻め合いなら▲2三歩成、受けに回るなら▲7七金だ。
*「許さんでしたか。▲2三歩成△8七桂成▲1二とがどうなっていますかね」(福崎九段)
105手 7七金(87) ( 3:00/07:23:00)*金を逃げておく。面倒を見る回答を示した。代えて▲2三歩成は△6六銀があったかもしれないと、船江七段。▲同歩に△6七銀▲5九玉△8七桂成が
詰めろになった。
*再び永瀬にターンが移る。△2四歩は▲7六歩と手を戻し返される手が気になるようで、現局面から△8八銀▲7八金に△7六銀と絡んでどうかとされた。
*
*※局後の感想※
*本譜の△8八銀に代えて△8八角が示されると、「なるほど」と、永瀬は反応したものの、以下▲2三歩成△7七角成▲同玉△8七銀▲6八玉は先手が耐えているとされた。
106手 8八銀打 ( 7:00/07:12:00)*「先手からすると嫌な手ですね。強すぎるな―」(船江七段)
*「検討では出ましたけど、実際にこのタイミングの銀はすごいですね。なんとなくふたりの息が合っているように思います」(福崎九段)
107手 7八金(77) ( 1:00/07:24:00)*現状、この金は先手玉を守る唯一のカナ駒。簡単には渡せない。
*
*※局後の感想※
*本譜の△8七銀に代えて△7六角が示されると、「どうするんでしょうねー」と、藤井。しばらく沈黙のあと、▲7七銀△7九銀打▲同飛(1)△6七桂成▲同金△7九銀不成▲7八玉△5八飛▲6八歩△6七角成▲同玉△3八飛成▲4二銀△6一玉▲5一角△6八銀成▲7六玉△7五歩▲8七玉△6二金▲5四桂の進行は先手が指せるとされた。(2)△7九同銀不成▲同玉△6七角成▲同金△同桂成▲8七銀の進行は「全然勝ちという感じじゃない」と述べた藤井に対し、「そうですか、角を打つんでしたね。本譜は負けなんですね」と永瀬。このあとは検討されなかった。
108手 8七銀打 ( 0:00/07:12:00)*さらに金に絡んでいく。
*「これは決着がつきそうですね」(福崎九段)
*次に△7八銀成▲同玉に△7九角が
詰めろで受けづらい。検討では8筋のどちらかの銀を金で取って▲2三歩成でどうかとされた。
*離席していた藤井が足早に戻ってきた。
*
*【両者、残り時間が1時間を切る】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-2cd1.html *
*※局後の感想※
*「普通にやったつもりだったんですけど、負けているんですかね。どこが悪かったのか、ずっと悪かった可能性も」(永瀬)
109手 同 金(78) ( 8:00/07:32:00)*8七の銀のほうを取る手で応じた。この手に8分使い、藤井の残りは28分。
110手 同 桂成(75) ( 0:00/07:12:00)*ABEMAでは△8七同桂不成と不成で取る手も示されていたが、永瀬は自然に△8七同桂成と金を取る。
111手 2三歩成(24) ( 4:00/07:36:00)*歩を成って飛車を逮捕した。△2五角にはどう受けるか。△5八金までの
詰めろだ。ほかに△8六角の
王手も後手は魅力だろう。
*「ただ、△8六角▲5八玉△7七成桂は先手玉を逃がしかねないので、実戦的にはやりにくいのではないかと」(船江七段)
*時刻は18時を回った。永瀬は額に手を当てて考え込む。顔は真紅に染まっている。
*検討では△2五角には▲4八金で先手がしのいでいそうとされた。△2五角と△8六角が寄らないとなるとほかの手段がどうかだが、現状は見つかっていない。永瀬にとって苦しい考慮となっているか。
*18時24分、残り時間が24分で並んだ。藤井は前傾姿勢を続けている。さらに考え続け、残り10分となった。
*「永瀬九段に何か誤算があったのかもしれないですね。ひょっとしたらこのまま一分将棋に入るかもしれないです」(船江)
*
*【有馬を愛した偉人たち】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-cf80.html 112手 2五角打 (40:00/07:52:00)*40分の長考。残り8分まで考えて
詰めろで角を打った。
*
*【永瀬九段は秒読みに】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-61cf.html 113手 4八金(38) ( 1:00/07:37:00)*藤井は1分で金を寄る。と同時に離席していた永瀬が戻ってきた。
114手 8九銀(88) ( 1:00/07:53:00)*桂を入手。ただしこの手は
詰めろになっていない。▲1二とで先手が勝勢だ。
115手 1二と(23) ( 4:00/07:41:00)*飛車を取る。勝ちを読みきったか。△4六歩が
詰めろだが、▲3一飛や▲4二歩成△同玉に▲3一銀の筋がある。
116手 6九金打 ( 3:00/07:56:00)*残り7分から3分割いて飛車を取りにいった。
*
*【クライマックス】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-68df.html 117手 同 飛(39) ( 0:00/07:41:00)*△6九同角成▲同玉△7八銀成には▲5八玉で詰まない。
118手 7八銀成(89) ( 0:00/07:56:00)*銀を成って飛車を取りにいく。
119手 5九玉(68) ( 0:00/07:41:00)*藤井の玉も元の位置に戻ってきた。△6九成桂▲4九玉△5九成桂に▲同玉だと△6九飛までだが、▲3九玉で詰まない。
*関三段の秒読みの声が室内に響き渡る。
120手 6九成銀(78) ( 2:00/07:58:00)*成銀で飛車を取る。
121手 4九玉(59) ( 0:00/07:41:00)*永瀬はうつむく。そして首を傾げた。
*「これは
打ち歩詰めの筋で逃れているのかもしれません」(船江七段)
122手 1六角(25) ( 1:00/07:59:00)*端に角を捨てる。▲1六同香に△5九飛▲3八玉△2六桂から迫ろうとしている。ただしそこで▲4七玉と逃げれば△4六歩▲同玉△4五金▲4七玉の形が
打ち歩詰めの形。船江七段はその局面が投了図になると予想した。
123手 同 香(19) ( 2:00/07:43:00)*逃げても詰まなさそうだったが、取る手で応じた。きっちり読みきっている。
124手 5九飛打 ( 0:00/07:59:00)*飛車を打ち込んだが、永瀬はもう勝負を競っている感じではない。
125手 3八玉(49) ( 0:00/07:43:00)*△2六桂のときに▲2八玉だと△2七歩がくる。以下▲同玉△2九飛成▲2八金に△4六歩と進むと、事件では済まないかもしれない。
126手 2六桂打 ( 0:00/07:59:00)*永瀬は
王手を続ける。ただ、相手玉が
打ち歩詰めであることは悟っているはずだ。
127手 4七玉(38) ( 1:00/07:44:00)*4七に逃げるのが冷静だ。
128手 4六歩(45) ( 0:00/07:59:00)*歩を突き出す。船江七段の予想が当たりそうだ。
129手 同 玉(47) ( 0:00/07:44:00)*藤井の着手が早い。いつもながら魅せる終盤戦だった。
130手 4五金(34) ( 0:00/07:59:00)*永瀬は指し続ける。
打ち歩詰めの形で本局を終えることを選んだ。
131手 4七玉(46) ( 0:00/07:44:00)*後手の持ち歩に哀愁が漂う。両者によってひとつの作品が作られた。
*この局面で永瀬の投了となった。以下△4六歩は
打ち歩詰めの禁じ手で指せず、△3六金も▲同歩△同角に▲4六玉で先手玉は詰まない。一方、後手玉は▲7一飛や▲3一飛以下などの
詰めろで受けなしだ。
*
*終局時刻は19時0分、消費時間は▲藤井7時間44分、△永瀬7時間59分。これでシリーズ成績は藤井の2連勝となった。第3局は7月29、30日(火、水)に北海道千歳市「ポルトムインターナショナル北海道」で指される。
*
*【藤井王位の勝利】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-5565.html *【終局直後インタビュー】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-c7a5.html *【
感想戦】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-10da.html *
*※局後の感想※
*
感想戦は20時9分に終了した。
132手 投了 ( 0:00/07:59:00)まで131手で先手の勝ち