憩に入った。この手に藤井が考えた時間は41分。ここまでの消費時間は▲藤井2時間39分、△永瀬21分。1日目の昼食は藤井が「神戸牛すき鍋膳」。永瀬が「神戸牛肉うどん膳の大盛り」。普段は大盛りは扱われておらず、本局では特別に用意された。対局は13時30分に再開される。
*
*13時30分なって対局再開。しかし、藤井はすぐには指さない。扇子を手に考慮にふける。さらに考え続け、昼食休憩を挟んでの考慮は1時間を超えた。
*「これだけ考えられているということは、▲4四銀なのかもしれないです」(船江七段)
*
*【1日目正午の控室】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-1b82.html *【1日目昼食休憩】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-70fe.html *【1日目対局再開】
*
https://kifulog.shogi.or.jp/oui/2025/07/post-4672.html 55手 4四銀打 (61:00/02:59:00)*13時50分、昼食休憩を挟む1時間1分の長考で銀を打っていった。
*「4四には本当は桂を打ちたいところなんですよね。△3四金のときにいい攻めがあるかどうかですが、あるということです」(船江七段)
56手 3四金(33) ( 1:00/00:22:00)*3四に逃げておく。△3二金は▲2四歩△同歩に飛車先交換のほか、▲3五銀から▲2四銀のような順も気になった。
57手 7五銀(66) ( 2:00/03:01:00)*銀打ちを入れておいてから逆方向を攻める。△7四歩には▲同銀の強襲があるか。△同銀▲同角成△同角に▲4三銀打と金を狙っていく。受けにくそうではあるが、先手の駒損も大きい。
58手 7四歩打 ( 0:00/00:22:00)*逆に打たせてはダメとすぐに歩を打つ。永瀬の研究はまだまだ続いていそうだ。
59手 8四銀(75) ( 4:00/03:05:00)*▲7四同銀は見送り、8四に逃げておく。次に▲7三銀成△同金▲5三銀成△8三金に▲5五桂の攻めがあり、そう進めば先手が指せていそうだ。後手は玉飛接近形がつらい。
60手 4二玉(31) ( 1:00/00:23:00)*4二に玉を移動。玉自ら5三に利かせることで、▲7三銀成△同金に▲5三銀成に△同玉を用意した。ただし飛車が攻めに働かなくなっており、方針を受けきりに定めた一手と言えそうだ。それにしてもこの中盤の難所で1分で指せる手では普通はないが。
61手 3九飛(29) (15:00/03:20:00)*飛車を寄って▲3五銀を見た。後手は直接的な受けは△3一飛か△3六桂、△4三桂になるが、4三に桂を打つのはいつでも▲4三銀成から▲5五桂の筋があってかなり打ちにくい。
62手 3六桂打 ( 1:00/00:24:00)*1分で△3六桂。永瀬の早指しは終わりを見ない。
63手 3八金(48) ( 4:00/03:24:00)*3八に逃げて△2八桂成を許さない。また、いつでも▲3七歩で桂を取ることが可能だ。
*この手に藤井が4分使い、消費時間の差は3時間に広がっており、船江七段の未来予想が14時23分にして的中した。
*「もうあと何手かは永瀬九段は早く指すと思います。ここで止まるということはないですね」(船江七段)
64手 4三歩打 ( 3:00/00:27:00)*歩を打って銀を追い払いにいく。3分の考慮。
*「打っておきますよね。人間の手です。△8六歩と突くのがソフトの手のような感じのイメージでした」(船江七段)
65手 5五銀(44) ( 0:00/03:24:00)*本日の神戸新聞観戦記は、第36期女流王位戦挑戦者決定戦の▲西山朋佳女流三冠(現女流二冠)−△伊藤沙恵女流四段戦の第2譜が大川慎太郎さんによって執筆されている。
*
66手 8六歩(85) ( 1:00/00:28:00)*船江七段が「いつかは突きたい」と言っていた8筋の突き出しをここで敢行。▲8六同歩は△8二歩で角を取れる。
*「へー、△8六歩。△5四歩の確率が8割、△8六歩が2割と見ていましたが、何故△5四歩を入れないほうがいいのかが分かりません。先手はここは▲7五歩の一択でしょう」(船江七段)
67手 3七歩打 ( 9:00/03:33:00)*8筋を相手にしないところではあったが、桂取りの歩は言及されていなかった。
*「△8七歩成▲同金△8二歩は後手を持ってうれしいように思うんですけどね」(船江七段)
68手 8七歩成(86) ( 3:00/00:31:00)*歩を成って△8二歩を可能にした。
69手 同 金(78) ( 0:00/03:33:00)*先手陣はバラバラの状態で角を取られることになるが、藤井にどれくらいの成算があるか。
70手 8二歩打 ( 0:00/00:31:00)*これで角の入手が確定。▲3六歩△8三歩となれば角銀交換で後手の駒得となる。
*手数は早くも70手。永瀬はここまで35手を指しているわけだが、ここまでの消費時間は31分で、1手平均1分に満たない。また、時間が記録された手は19手で、その手のみで平均値を出しても2分に満たない。かなり前に前例を離れており、また、持ち時間8時間のタイトル戦を思えば異次元の早さだ。
71手 9四角成(83) (15:00/03:48:00)*歩を剥ぎ取っておく。△9四同香に▲9五歩から香を回収できるようにする工夫だ。ただ、香を取りにいく前に先に▲3六歩かもしれない。
*15時、1日目午後のおやつが用意された。藤井は「紅茶とオレンジのベリーヌ、アイスレモンティー」。永瀬は「カルマ、マンゴジュース、パインジュース、アイスミルクティー」。
*席を外していた永瀬が戻ってきた。取る一手だが永瀬はすぐに指さず考えており、永瀬の最長考慮時間がここで更新となる。
*「△2八桂成はあるかもしれません。確率は1%くらいかなと思いますが、プロ的には考えます。▲2八同金とさせることで形を乱せますので。ただ、飛車先も通るのでお手伝いになる可能性もあって、ここで△2八桂成がいいという結論になる人は強すぎます」(船江七段)
*継ぎ盤には△2八桂成▲同金△9四香▲9五歩△6五桂▲3八金が並び、後手を持って自信がないとされた。次に▲9四歩となれば▲銀香△角の2枚換えで、後手の駒得が消える。
*「△2八桂成は幻ですかね」(船江七段